昔から「水の都」として知られている長崎県島原市。市内の至る所に、雲仙山系に育まれた、炭酸ガスを適度に含有する湧き水が湧出しています。これは、今からおよそ200年前に起きた普賢岳の噴火によるもので、当時眉山の崩壊によって長崎県島原市地域には随所で地割れが起き、水が湧き出したと言われています。60か所ほども湧水箇所を持つこの地域は、島原湧水郡と呼ばれ、1985年に環境省による全国名水100選にも選ばれました。島原湧水郡では公園や島原城周辺だけではなく、普通の道やアーケードの中にも湧水ポイントが存在していますが、なかでも長崎県島原市に来たらぜひ訪れたいスポットを紹介します。
まずは「鯉の泳ぐまち」。下新町というところでは、昭和53年から毎年、町内会が中心となって毎年5月5日に、清流に色とりどりの鯉を放流しています。道端の堀の澄みきった水の中を、普通の鯉、錦鯉、三色鯉、金色の鯉等が優雅に仲良く泳ぐ様子には、思わず笑顔がこぼれてしまいそうです。5月5日には、死んでしまった鯉のための供養も行われています。近くには無料休憩所のしまばら湧水館もあり、歩き疲れた体をせせらぎの音が癒してくれます。ここでは島原名物かんざらしの手作り体験も行われています。
明治時代につくられた湧水庭園である四明荘は、四方の眺めが良く、座敷から2方向へ続く池には鯉が泳ぎ、楓や赤松等の植栽とも見事に調和しています。島原湧水郡の中でも特に市民に親しまれるこの美しい庭園は、平成20年に国の天然記念物となりました。
白土湖は、200年前の眉山崩壊の際に上の原地域が陥没してできた湖です。東西200m、南北1kmほどの湖ですが、1日に4万トンの水が湧き出ています。
少し離れたところにある浜の川湧水は、古くから人々が共同で使っている水場で、豊富に湧き出る井戸水と住民たちとのつながりの深さを実感できるところです。このような洗い場は、白土湖洗い場、音無川洗い場等、島原湧水郡の各所にあります。また水と共に暮らす島原の人々は、水神様も随所に祀っています。
武家屋敷水路は歴史を感じさせる湧水スポット。お城に続く武家屋敷街の中央を流れる堀の水は、熊野神社からのもので、昔は飲料水であったため水奉行が厳重に管理していました。温泉の湧き出るところも何か所かあります。島原湧水郡めぐりで疲れた足は、サンシャイン中央街近くの駐車場のそばにある、ゆとろぎ足湯で癒しましょう。