まつもと城下町湧水群

松本市は長野県の中西部に位置する中信地方の中心都市で、東西を北アルプスと美ヶ原という高い山に囲まれた人口24万人の城下町です。

周囲の高い山から湧き出した水は女鳥羽川(めとばがわ)や薄川(すすきがわ)となり松本市街地を流れますが、一部は伏流水となって市街地に直接湧き出します。そのため市街地には数多くの井戸があり、今でも清らかな水が湧き出しています。国宝松本城のお堀の水もこの湧き水と言われています。

城下町が整備された江戸時代から現在至るまでそこで生活している人の生活用水や防火用水、町の境目として重要な役割を担っています。水がきれいで豊富なイメージの長野県でも市街地のど真ん中にこれだけの井戸や湧き水が今でも残っているのは松本市くらいでしょう。長野県と松本市はこれをまつもと城下町湧水群として整備し平成20年に環境省「平成の名水百選」に選定されました。

まつもと城下町湧水群は松本城から外堀に沿って南側の城下町に広がり、観光スポットとして有名なナワテ通りや女鳥羽川を挟んだ中町商店街周辺にかけて点在していて、街並みと合わせて「まつもと城下町湧水群」水巡りができるようになっています。いくつかのコースが設定されていて松本駅や松本城の観光案内所で水巡りマップを手に散歩するのがおススメです。

湧水群の数ある井戸・湧き水の中で最も有名なのが「源智(げんち)の井戸」です。古くからある人形店が立ち並ぶ高砂通りにあり、周囲にはおしゃれなカフェや雑貨屋、美術館もあって人気の散策コースになっています。この井戸はその昔「信州第一の名水」とされ時の城主から手厚く保護されていて、一般の利用を禁止していたほどだそうです。一見すると神社のような佇まいですが、現在はこの井戸水を利用してコーヒーを出してくれるカフェもあるそうです。

観光案内所でもらえる水巡りマップには各井戸や湧き水の水質分析結果が記載されているので、太鼓判が押された水は安心して飲めます。どれもとても冷たくおいしい水ですよ。