特別天然記念物に指定されている浅間大社内の「湧玉池」

静岡県富士宮市に位置する富士山本宮浅間神社は、諸説あるものの西暦806年に現在の場所に社殿が造営されたと伝えられている歴史ある神社です。本殿が国の重要文化財に指定されているだけでなく、2013年に世界文化遺産として登録された富士山を中心とする構成資産の一つにも数えられているほか、壺や薙刀といった静岡県と富士宮市が指定する有形文化財も多く、国内のみならず世界中から参拝客が集まる観光名所になっています。

その富士山本宮浅間神社の境内にある池が湧玉池です。湧玉池は水量が非常に豊富なだけでなく、池の水が全て富士山からの湧き水であるというところに特徴があります。富士山に降り積もった雪の雪解け水が溶岩の間から湧き出ており、一年を通して水量に増減がないのです。池にはニジマスなどの魚や鴨などが悠々と泳いでおり、ほとりでは鳥が飛び回っている自然あふれる光景が広がっています。1952年に国の特別天然記念物に指定されたほか、2008年には平成の名水百選にも選ばれています。景観が非常に美しく、湧き水の透明度が高いため水中の植物や湖面に反射する社殿など観ていて飽きることがありません。また、春には池のほとりに見事な藤が咲き、より一層情緒を際立たせてくれます。この景観は富士山周辺のみならず富士宮市や静岡県の名所として知られるようになっています。

湧玉池は富士山の登山路入り口にあることから、古くから修験者が富士山に入山する前に身を清める場所としても活用されてきました。現在でも山開きされるときには男性はふんどし姿、女性は白装束に身を包んでみそぎを行う神事が続けられています。

「平成の名水百選」は選定条件に飲用であることは含まれていないものの、湧玉池の水は飲むことも可能です。池の水は直接飲むことはできませんが、飲料用のパイプを流れている水は飲用としても利用可能なのです。そのまま飲むことも可能ですが、煮沸してから使うようにという注意書きがあるため気にするようであれば持ち帰って沸かしてから飲むようにするべきです。料金は無料ですが、霊峰富士のご神体に染みこんだ天然水であり神水とされているため、二礼二拍手一礼の後に汲むことが望ましいとされています。もし持ち帰る場合の容器を持っていない場合は、ペットボトルが用意されているのでお賽銭を納めて活用させてもらいましょう。

湧玉池は、景観が美しいだけでなく池の水も富士山の恩恵を受けている池なのです。