日本名水百選にも選定されている「三分一湧水」

日本名水百選に選定されている三分一湧水とは、山梨県北杜市長坂町および小淵沢町に点在する八ヶ岳南麓高原湧水群のひとつですが、その他の代表的な湧水地として、女取湧水、大滝湧水などがあり、これらの湧水群は、1985年に名水百選に選定されました。
三分一湧水は、山梨県北杜市の静かな雑木林に抱かれ、年間を通じ水温が10℃前後で、日量8500tという豊かな湧出量を誇る湧水として知られています。

そして、近くにある三分一湧水館では、八ヶ岳山麓の湧水の水質やしくみ、歴史などを紹介する展示がされていて、移設された農産加工直売所には、地元で採れた新鮮な野菜や加工品が豊富に並び、地元産のそば粉を使った風味豊かな手打ち蕎麦も味わうことができます。
また、山梨県北杜市にある三分一湧水の歴史は、戦国時代に武田信玄が整備して下流にある三つの村に農業用水を三等分するために三角石を置いたという言い伝えがあるように、現在でも、三角石は堰の真ん中に鎮座しています。
さらに、近隣には、信玄が信濃攻略のために整備した軍用道路の棒道の出発点のひとつがあるなど山梨県北杜市の歴史ロマン溢れる場所でもあります。

なお、三分一湧水の名前の由来は、三分一湧水下流の村々に長年続いた湧水を巡る利権争いを治めるため、江戸時代に入ると湧出口の分水枡に三角木柱の利水施設が造られ、湧水を三方向の村落に三分の一づつ平等に分配できるようになったことから付けられたといわれています。
現在では、1922年に完成した石造りの枡が用いられて、利水の権利を持つ地域住民が組織する管理組合などが管理を行い、農業用水として利用されていますが、毎年、6月1日には、水元と称する旧小荒間村の坂本家を主座に、関係集落立会いの下に分水行事が行われています。

そして、小淵沢町の大滝神社の地内にあり、大木をくり抜いた桶口から湧水が流れ落ちる大滝湧水は、古くから伝記として伝わる湧水で、年間水温が12℃、日量22000tもの湧水が湧出しています。
江戸時代には、甲府代官が民有地を買い上げて保全を図り、現在では地区住民によって管理され、周辺は公園として整備が行われて、秋には紅葉が素晴らしい景観の場所となっています。

このような八ヶ岳南麓高原湧水群には、三分一湧水や大滝湧水などの代表的な湧水のほか、50箇所以上もの湧水があるといわれ、現在、28箇所以上の湧水が確認されていますが、標高約1,000m付近に点在する多くの湧水群は、利水が不安定なこちらの地域にとって、古来から重要な役割を果たしてきています。