チョコレートのような香りがする?!「羊蹄の湧き水」

わたしたちの暮らしにおける飲料水は水道の蛇口や市販のミネラルウォーターがメインになっています。
昔利用されていた井戸もいまはほとんど使われなくなり、人々の暮らしが都心に集まる現代では湧水も身近なものではなくなりました。

水道水は無料に近い感覚で飲むことができますが、天然の水は健康のためにも役立つことからお金を支払ってもとり入れたいとお考えの方は多いようです。

便利な暮らしが当たりまえになることと比例して、手つかずの自然が減っていく一方、いまも古代の姿を残す地域が日本全国存在します。
そのいずれも天然の美しい水を求めて毎日人が集う場所になっていますが、北海道の羊蹄山のふもとに位置する真狩村の湧き水はその独特の香りが人気を博しているようです。

真狩村はいかにも北海道らしい景色の中に大きくそびえ立つ羊蹄山を有する地域です。
堂々とした羊蹄山その姿は富士山のそれに似ていることから蝦夷富士ともよばれていますが、周りには遮るものがなく羊蹄山の雄大さを視界いっぱいに堪能することができるため、真狩村は北海道の中でも人気のドライブスポットとなっています。

そんな自然があふれる羊蹄の湧き水は誰でも気軽に飲むことができる場所にあります。
駐車場からすぐに湧き水が流れだす場所があり、その場で飲むことはもちろん容器に汲んで持ち帰ることもできます。

羊蹄の湧き水は柔らかな口当たりと、まるでチョコレートのような独特な甘みを含んだ香りがするとの声も聞かれます。
水は無臭というイメージですが、かすかなその香りは羊蹄の湧き水の特徴となっているのです。

湧き水スポットには羊蹄の湧き水を使用して作られた豆腐を販売する店舗も併設されています。
販売されている商品はバラエティに富んでおり、豆腐だけでなく豆腐を使用した惣菜やスイーツなども大変人気があることから午後には売り切れている商品もありますのでここを目的に訪れる際は午前中の到着をおすすめします。

さまざまなラインナップは店内で試食することもでき、ドライブコースに選ばれるスポットとして人気を集めています。

雪解けの水や雨水を蓄え、木々や地層からしみ出す湧水は非常に貴重なものとなりました。
羊蹄の湧き水は地域の人々の手によって大切に保存されています。観光に訪れる人もそのひとりひとりがマナーの心や自然への感謝を忘れずに、これからも人々の憩いの場として守っていく心がけが必要でしょう。

家庭で飲める天然水
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特別天然記念物に指定されている浅間大社内の「湧玉池」

静岡県富士宮市に位置する富士山本宮浅間神社は、諸説あるものの西暦806年に現在の場所に社殿が造営されたと伝えられている歴史ある神社です。本殿が国の重要文化財に指定されているだけでなく、2013年に世界文化遺産として登録された富士山を中心とする構成資産の一つにも数えられているほか、壺や薙刀といった静岡県と富士宮市が指定する有形文化財も多く、国内のみならず世界中から参拝客が集まる観光名所になっています。

その富士山本宮浅間神社の境内にある池が湧玉池です。湧玉池は水量が非常に豊富なだけでなく、池の水が全て富士山からの湧き水であるというところに特徴があります。富士山に降り積もった雪の雪解け水が溶岩の間から湧き出ており、一年を通して水量に増減がないのです。池にはニジマスなどの魚や鴨などが悠々と泳いでおり、ほとりでは鳥が飛び回っている自然あふれる光景が広がっています。1952年に国の特別天然記念物に指定されたほか、2008年には平成の名水百選にも選ばれています。景観が非常に美しく、湧き水の透明度が高いため水中の植物や湖面に反射する社殿など観ていて飽きることがありません。また、春には池のほとりに見事な藤が咲き、より一層情緒を際立たせてくれます。この景観は富士山周辺のみならず富士宮市や静岡県の名所として知られるようになっています。

湧玉池は富士山の登山路入り口にあることから、古くから修験者が富士山に入山する前に身を清める場所としても活用されてきました。現在でも山開きされるときには男性はふんどし姿、女性は白装束に身を包んでみそぎを行う神事が続けられています。

「平成の名水百選」は選定条件に飲用であることは含まれていないものの、湧玉池の水は飲むことも可能です。池の水は直接飲むことはできませんが、飲料用のパイプを流れている水は飲用としても利用可能なのです。そのまま飲むことも可能ですが、煮沸してから使うようにという注意書きがあるため気にするようであれば持ち帰って沸かしてから飲むようにするべきです。料金は無料ですが、霊峰富士のご神体に染みこんだ天然水であり神水とされているため、二礼二拍手一礼の後に汲むことが望ましいとされています。もし持ち帰る場合の容器を持っていない場合は、ペットボトルが用意されているのでお賽銭を納めて活用させてもらいましょう。

湧玉池は、景観が美しいだけでなく池の水も富士山の恩恵を受けている池なのです。

水の都、島原市の炭酸ガスを含んだ「島原湧水群」

昔から「水の都」として知られている長崎県島原市。市内の至る所に、雲仙山系に育まれた、炭酸ガスを適度に含有する湧き水が湧出しています。これは、今からおよそ200年前に起きた普賢岳の噴火によるもので、当時眉山の崩壊によって長崎県島原市地域には随所で地割れが起き、水が湧き出したと言われています。60か所ほども湧水箇所を持つこの地域は、島原湧水郡と呼ばれ、1985年に環境省による全国名水100選にも選ばれました。島原湧水郡では公園や島原城周辺だけではなく、普通の道やアーケードの中にも湧水ポイントが存在していますが、なかでも長崎県島原市に来たらぜひ訪れたいスポットを紹介します。

まずは「鯉の泳ぐまち」。下新町というところでは、昭和53年から毎年、町内会が中心となって毎年5月5日に、清流に色とりどりの鯉を放流しています。道端の堀の澄みきった水の中を、普通の鯉、錦鯉、三色鯉、金色の鯉等が優雅に仲良く泳ぐ様子には、思わず笑顔がこぼれてしまいそうです。5月5日には、死んでしまった鯉のための供養も行われています。近くには無料休憩所のしまばら湧水館もあり、歩き疲れた体をせせらぎの音が癒してくれます。ここでは島原名物かんざらしの手作り体験も行われています。

明治時代につくられた湧水庭園である四明荘は、四方の眺めが良く、座敷から2方向へ続く池には鯉が泳ぎ、楓や赤松等の植栽とも見事に調和しています。島原湧水郡の中でも特に市民に親しまれるこの美しい庭園は、平成20年に国の天然記念物となりました。
白土湖は、200年前の眉山崩壊の際に上の原地域が陥没してできた湖です。東西200m、南北1kmほどの湖ですが、1日に4万トンの水が湧き出ています。

少し離れたところにある浜の川湧水は、古くから人々が共同で使っている水場で、豊富に湧き出る井戸水と住民たちとのつながりの深さを実感できるところです。このような洗い場は、白土湖洗い場、音無川洗い場等、島原湧水郡の各所にあります。また水と共に暮らす島原の人々は、水神様も随所に祀っています。

武家屋敷水路は歴史を感じさせる湧水スポット。お城に続く武家屋敷街の中央を流れる堀の水は、熊野神社からのもので、昔は飲料水であったため水奉行が厳重に管理していました。温泉の湧き出るところも何か所かあります。島原湧水郡めぐりで疲れた足は、サンシャイン中央街近くの駐車場のそばにある、ゆとろぎ足湯で癒しましょう。

日本名水百選にも選定されている「三分一湧水」

日本名水百選に選定されている三分一湧水とは、山梨県北杜市長坂町および小淵沢町に点在する八ヶ岳南麓高原湧水群のひとつですが、その他の代表的な湧水地として、女取湧水、大滝湧水などがあり、これらの湧水群は、1985年に名水百選に選定されました。
三分一湧水は、山梨県北杜市の静かな雑木林に抱かれ、年間を通じ水温が10℃前後で、日量8500tという豊かな湧出量を誇る湧水として知られています。

そして、近くにある三分一湧水館では、八ヶ岳山麓の湧水の水質やしくみ、歴史などを紹介する展示がされていて、移設された農産加工直売所には、地元で採れた新鮮な野菜や加工品が豊富に並び、地元産のそば粉を使った風味豊かな手打ち蕎麦も味わうことができます。
また、山梨県北杜市にある三分一湧水の歴史は、戦国時代に武田信玄が整備して下流にある三つの村に農業用水を三等分するために三角石を置いたという言い伝えがあるように、現在でも、三角石は堰の真ん中に鎮座しています。
さらに、近隣には、信玄が信濃攻略のために整備した軍用道路の棒道の出発点のひとつがあるなど山梨県北杜市の歴史ロマン溢れる場所でもあります。

なお、三分一湧水の名前の由来は、三分一湧水下流の村々に長年続いた湧水を巡る利権争いを治めるため、江戸時代に入ると湧出口の分水枡に三角木柱の利水施設が造られ、湧水を三方向の村落に三分の一づつ平等に分配できるようになったことから付けられたといわれています。
現在では、1922年に完成した石造りの枡が用いられて、利水の権利を持つ地域住民が組織する管理組合などが管理を行い、農業用水として利用されていますが、毎年、6月1日には、水元と称する旧小荒間村の坂本家を主座に、関係集落立会いの下に分水行事が行われています。

そして、小淵沢町の大滝神社の地内にあり、大木をくり抜いた桶口から湧水が流れ落ちる大滝湧水は、古くから伝記として伝わる湧水で、年間水温が12℃、日量22000tもの湧水が湧出しています。
江戸時代には、甲府代官が民有地を買い上げて保全を図り、現在では地区住民によって管理され、周辺は公園として整備が行われて、秋には紅葉が素晴らしい景観の場所となっています。

このような八ヶ岳南麓高原湧水群には、三分一湧水や大滝湧水などの代表的な湧水のほか、50箇所以上もの湧水があるといわれ、現在、28箇所以上の湧水が確認されていますが、標高約1,000m付近に点在する多くの湧水群は、利水が不安定なこちらの地域にとって、古来から重要な役割を果たしてきています。

まろやかでほのかに甘さが口の中に広がる「ニセコ名水甘露水」

北海道には、おいしい水が味わえるスポットが数多くありますが、なかでも「ニセコ名水甘露水」は、遠くからも汲みに訪れる人の多い名水のスポットとして知られています。「トリップアドバイザー」のサイトでは、北海道のニセコの観光で4位を獲得しており、訪れた感想の口コミも数多く掲載されています。「ニセコ名水甘露水」を遠くから汲みに来る方は、この水でお米を炊いたり、コーヒーを入れたりしているようです。また、料理を提供する際に、この水を使っている飲食店もあるようです。

「ニセコ名水甘露水」は、JRのニセコ駅からバスで約15分のところにあり、水汲み場は「ニセコグランドホテル」の道路の対岸に位置しています。水を飲んだり汲みに行く場合には、交通の便を考慮して、レンタカーなど車を利用するのがおすすめです。なお、向かいにある「ニセコグランドホテル」に宿泊すると、1Fのフロント前にあるロビーと、客室内の冷蔵庫に「ニセコ名水甘露水」が用意されているそうですので、旅行などで滞在すれば、ゆったりと味わうことができます。

「ニセコ名水甘露水」が「甘露水」と呼ばれるきっかけとなったのは、昭和天皇が冷たい湧水を「甘露である」と評したこととされています。太平洋戦争後の昭和29年8月に、北海道を広く慰問・激励されることを目的として、昭和天皇、皇后両陛下がグランドホテルにご滞在された際に、湧水を飲まれたとのことです。ご巡幸をきっかけとして、両陛下行幸啓記念の「甘露水」と呼ばれるようになり、広く親しまれています。

ニセコグランドホテルによると、「ニセコ名水甘露水」には、「シリカ」が豊富に含まれているそうです。ニセコ名水甘露水のシリカの含有量は、全国湧水平均値の5倍にあたる50mgとされています。「シリカ」は、必須ミネラルとして重要な役割を果たしています。1日当たりの摂取量の目安は10~20mg程度とされていますが、食品に含まれている量が少なく、意識的に取り入れることが望まれる栄養素とされています。シリカは、皮膚や髪の毛、爪などに含まれていて、これらの成長をつかさどる働きを担っています。また、エラスチンやヒアルロン酸とともに、肌を健康に保つ働きもしていますので、美肌づくりにも効果的です。さらに、カルシウムの吸収をサポートする働きもあるとされています。

周辺には、美肌効果の期待できる温泉も豊富にありますので、名水とあわせて試してみてはいかがでしょう。